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猫の必須栄養素は約40種類
猫の必須栄養素数については約40種類が正確。ただし、文献によって39種類と記載されることもある。
獣医師監修の文献では「猫には肉食動物がもつ栄養学上の特徴がたくさんあり、必須栄養素は約40種類になります」と明記されている。
一方で、39種類という数字が出る理由は、栄養素の分類や定義によって若干の差が生じるため
40種類の内訳(一般的な分類)
- アミノ酸: 11種類(必須アミノ酸10種+タウリン)
- 脂肪酸: 3種類(リノール酸、アラキドン酸、α-リノレン酸)
- ビタミン: 13種類(脂溶性4種+水溶性9種)
- ミネラル: 12種類(主要ミネラル7種+微量ミネラル5種)
- 水: 1種類
主要な栄養素早見表
アミノ酸(必須・準必須)
| No. | 栄養素 | 主な供給食材 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | アルギニン | 肉類全般(鶏・牛・豚)、魚、卵 | 必須(犬の約2倍必要) |
| 2 | ヒスチジン | 肉類、魚、レバー | 必須 |
| 3 | イソロイシン | 肉、卵、魚 | 必須 |
| 4 | ロイシン | 肉、卵、魚 | 必須 |
| 5 | リジン | 鶏肉、豚肉、卵、魚 | 必須 |
| 6 | メチオニン+シスチン | 肉、魚、卵黄、レバー | 必須 |
| 7 | フェニルアラニン+チロシン | 肉、魚、卵 | 必須 |
| 8 | スレオニン | 肉、卵、魚 | 必須 |
| 9 | トリプトファン | 鶏肉、魚、卵黄 | 必須 |
| 10 | バリン | 肉類、魚、卵 | 必須 |
| 11 | タウリン | ハツ(心臓)、レバー、魚、卵黄 | 猫に必須(体内合成不可) |
参考リンク|猫の手作りディナー食材栄養成分データーベース
脂肪酸
| No. | 栄養素 | 主な供給食材 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 12 | リノール酸(ω6) | 鶏皮、卵黄、動物性脂肪 | 必須脂肪酸 |
| 13 | アラキドン酸(ω6) | 肉の脂肪、卵黄、内臓肉(特に肝臓) | 猫は体内合成不可のため必須 |
| 14 | EPA・DHA(ω3) | 青魚(イワシ、サバ、マグロ、サーモン) | 推奨(必須ではないが有益) |
参考リンク|猫の手作りディナー食材栄養成分データーベース
脂溶性ビタミン
| No. | 栄養素 | 主な供給食材 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 15 | ビタミンA | 鶏レバー、魚肝油、卵黄 | β-カロテンから合成不可のため必須 |
| 16 | ビタミンD | 魚(サーモン、タラ、イワシ)、卵黄 | 日光合成不可のため必須 |
| 17 | ビタミンE | 動物性脂肪、卵黄、レバー | 必須 |
| 18 | ビタミンK | 肝臓 | 条件付き必須(腸内細菌・抗生物質使用時など) |
参考リンク|猫の手作りディナー食材栄養成分データーベース
水溶性ビタミン
| No. | 栄養素 | 主な供給食材 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 19 | ビタミンB1(チアミン) | 豚肉、レバー、卵黄 | 必須 |
| 20 | ビタミンB2(リボフラビン) | レバー、卵、魚、肉 | 必須 |
| 21 | ナイアシン(B3) | 肉、魚、肝臓 | 合成困難なため必須 |
| 22 | ビタミンB6(ピリドキシン) | 肉、魚、レバー、卵 | 必須 |
| 23 | パントテン酸(B5) | レバー、卵黄、肉 | 必須 |
| 24 | 葉酸(B9) | レバー、卵黄 | 加熱で失われやすい(必須) |
| 25 | ビタミンB12(コバラミン) | 肉、魚、肝臓 | 必須(植物由来に含まれない) |
| 26 | ビオチン(B7) | 卵黄、レバー、魚 | 必須 |
| 27 | コリン | 卵黄、レバー、肉 | 条件付き必須 |
参考リンク|猫の手作りディナー食材栄養成分データーベース
ミネラル
| No. | 栄養素 | 主な供給食材 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 28 | カルシウム | 骨、卵殻粉、小魚(骨ごと) | 必須(リンとの比率に注意) |
| 29 | リン | 肉、魚、レバー、腎臓 | 必須 |
| 30 | マグネシウム | 魚、内臓 | 必須(バランスに注意) |
| 31 | カリウム | 肉、レバー | 必須 |
| 32 | ナトリウム | 肉、魚、血液・腎臓部位 | 必須 |
| 33 | 塩素(Cl) | 肉・魚に自然含有(NaClなど) | 必須(胃酸構成に関与) |
| 34 | 鉄 | レバー、赤身肉、魚、卵黄 | 必須(ヘム鉄が吸収効率良好) |
| 35 | 亜鉛 | 肉、魚、卵、レバー | 必須 |
| 36 | 銅 | レバー、魚介類 | 必須(過剰注意) |
| 37 | マンガン | レバー、全卵 | 必須 |
| 38 | セレン | 魚介類、肉、卵 | 必須(抗酸化) |
| 39 | ヨウ素 | 魚介類、海藻(昆布等) | 必須(海藻は過剰注意) |
参考リンク|猫の手作りディナー食材栄養成分データーベース
+40|水
注意が必要な食材
植物性食品(緑葉野菜・海藻・穀類)
- 一部栄養素補助にはなるが、主原料には不適切
- 猫は植物性食品の消化・栄養利用能力が低い
乳製品
- 多くの猫は乳糖不耐症(ヨーグルトやチーズは少量なら可)
植物油
- 脂肪酸の酸化リスク+消化の負担あり(特に加熱油)
猫の栄養学的特性
完全肉食動物としての基本特性
栄養要求量の特徴
- 完全肉食動物で、必須栄養素は約40種類(文献により39~40種類と表記される)
- 動物性タンパク質を人間の5倍、犬の2倍必要
- 脂肪の要求量も犬より高い(特に成長期や妊娠時)
- 炭水化物は必要としない(NRCでも「猫において必須炭水化物なし」と明記)
- 植物性タンパク質や炭水化物の代謝能力が低い
必須アミノ酸の特異性
タウリンの特殊性
- タウリンは犬の体の中では合成できるのに猫の体では他のアミノ酸から合成する能力が低いため必須アミノ酸になる。
- 犬や他の哺乳類は、含硫アミノ酸、システイン、メチオニンを酸化させることによって、体内でタウリンを生成することができるが、猫はこれらの経路に必要な酵素の活性レベルが不十分であるため、体内でのタウリンの生成が制限されている(よって必須アミノ酸としてカウント)
- タウリン不足で心筋症、網膜変性、胆汁酸合成異常が発生
アルギニンの重要性
- アルギニンを犬の約2倍必要とする
- 肝臓の尿素回路で常に必要、欠乏で超急性中毒(アンモニア血症)
- 猫はアルギニンの生成に必要な前駆体であるオルニチンとシトルリンを体内で生成することができない
必須脂肪酸の特性
アラキドン酸の合成不可
- 犬の場合、リノール酸が含まれるフードを食べると体内でアラキドン酸を合成することができるが、猫は合成することができない
- 猫はγ-リノレン酸からアラキドン酸を合成することができないため、食事からとらなければならない必須脂肪酸
- αリノレン酸からEPA/DHAを合成する能力が極めて低い
- 飽和脂肪酸の利用が得意
ビタミンの特異性
ビタミンAの特殊な要求
- 猫はβ-カロテンをビタミンA(レチノール)に変換するのに必要な酵素を欠いている
- 犬は、β-カロテンからビタミンAを合成することができるが、猫はその合成の過程に必要な酵素を欠くため食事から摂取
- ビタミンA(レチノール)を食事から摂取しなければならない(動物性)
その他のビタミン特性
- トリプトファンからナイアシン(ビタミンB3)への変換効率が極めて低い
- ビタミンD要求量が犬より高い(皮膚合成ができない)
代謝の特性
エネルギー代謝
- グルコース代謝よりも脂肪酸代謝が常時活性
- 糖新生酵素活性が常に高い状態(絶食時も下がらない)
- 肝臓のグリコーゲン貯蔵量が少ない
- ケトン体生成能力が高い
消化器系の特性
胆汁分泌と消化能力
- 胆嚢収縮に依存せず胆汁酸を常時分泌
- 少量の脂質でも即座に消化・吸収を開始
- 胆汁酸の再吸収効率が非常に高い
- 腸管が短く、植物性食品の消化に不適
水分代謝の特性
水分保持能力
- 濃縮尿を作る能力が非常に高い(尿比重1.080以上も珍しくない)
- 水分要求量が相対的に少ない
- 腎臓の濃縮機能が優秀(砂漠起源のネコ科動物として進化)
- 脱水に対する耐性が高い(ただし慢性的脱水は腎臓にダメージ)
その他の重要な特性
血糖とインスリン反応
- 食事性グルコースに対するインスリン分泌反応が鈍い
- 少量でも血糖維持する代謝で、グルコース感受性が低い
肝機能の脆弱性
- 肝臓の脂肪肝発症リスクが高い
- 絶食や低タンパク食で急速に肝機能が悪化(「肝リピドーシス」に直結)
- 「猫に絶食は危険」は重要な注意点
腸内環境
- 腸内細菌の多様性が犬や人間より低い
- 発酵性繊維よりもタンパク発酵菌に依存する傾向
これらの特性は全て、完全肉食動物として進化した結果の適応で、効率的な肉食生活を可能にする一方で、栄養管理上の制約も生み出している。適切なキャットフードの選択や手作り食を検討する際は、これらの特殊な栄養要求を理解することが重要である。
