フードの裏に表記されている栄養基準%as-fed?%DM?訳が分からない・・・笑 わからないようにしているのかと勘繰るほどだ。
猫の栄養基準は、NRC・AAFCO・FEDIAFいずれも 1000 kcalあたりの必要量(mg単位) で定義されている。
ところが実際のフード表示は「% as-fed」が主流で、水分量に左右されやすく、ドライとウェット、手作りを横並びで比較することができない。
そこで「mg/100 kcal」に換算すると、どの食事形態でも同じ基準で評価が可能。
ナトリウム・カルシウム・リン・マグネシウムといった腎臓や骨格に直結するミネラルほど、この換算が実用的であり、不足・過剰・適正の境目を数値で明確に把握できるようになる。
よし、まずナトリウムからいこう。
猫のナトリウムを「%」ではなく mg/100 kcal で考える
出典:
- NRC (2006). Nutrient Requirements of Dogs and Cats. National Academies Press.
- AAFCO (2024). Official Publication. Association of American Feed Control Officials.
- FEDIAF (2024). Nutritional Guidelines for Complete and Complementary Pet Food for Cats and Dogs.
なぜ Na(ナトリウム)が大事か
ナトリウムは猫の体液バランスや血圧、腎臓の働きに深く関わる必須ミネラル。
不足しても、過剰でも健康を損なうリスクがある。
「塩分=悪」という単純な話ではなく、適正量を知ることが大切。
%表記の落とし穴
市販フードやレシピでよく見かける「Na=0.1%」といった表記。
実はこれ、水分量に大きく左右されるので比較が難しい。
- ドライは水分が少ない → %が高く見える
- ウェットは水分が多い → %が低く見える
でも、猫の体が最終的に利用するのは「摂取カロリーに対してどれだけのNaが入っているか」。
そこで使えるのが mg/100 kcal という指標。
基準値(100 kcalあたりに換算)
| 出典 | 最低必要量 (MR) | 推奨量 (RA) | 上限 (SUL) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| NRC 2006(成猫維持期) | 20 mg | 40 mg | 530 mg | 一次資料の基準 |
| AAFCO 2024 | 20 mg | 50 mg | ― | NRCを準拠 |
| FEDIAF 2024 | 20 mg | 40–50 mg | ― | AAFCOとほぼ同じ |
| 市販フード実測 | 約40–200 mg | 中央値100–150 mg | 製品差大きい | ドライは高め、ウェットは低め |
手作り食(例)
- 総エネルギー:192 kcal
- ナトリウム:228 mg
- 換算値:118 mg/100 kcal
→ 基準値(40–50 mg)を十分に満たし、市販フード帯(70–150 mg)の範囲内。
「不足でも過剰でもない、ちょうど良い位置」にあると考えられる。
実務ガイドライン
- 不足ゾーン:<40 mg/100 kcal(基準割れ・危険)
- 充足ライン:40–60 mg/100 kcal(NRC基準を満たす)
- 慣用帯:70–150 mg/100 kcal(市販フードの中心レンジ、多くの製品がここに位置)
- 注意ゾーン:>200 mg/100 kcal(NRCの上限530 mgには届かないが、長期的には腎・心臓への負担リスクが高まる可能性あり)
まとめ
- %表示だけでは誤解を招きやすい
- Naも mg/100 kcal で整理するのが実用的
- これならウェットもドライも手作りも、同じ土俵で比較できる
飼い主が「数値の読み替え」を知ると、DMやらas-fedやら混乱しなくなる。とてもいい。次にカルシウム(Ca)リン(P)マグネシウム(Mg)をやってみようか。
猫の Ca・P・Mg 必要量(100 kcal基準)
出典:
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NRC (2006). Nutrient Requirements of Dogs and Cats.
-
AAFCO (2024). Official Publication.
-
FEDIAF (2024). Nutritional Guidelines for Cats and Dogs.
基準値(成猫維持期)
| 栄養素 | NRC 2006 MR | NRC 2006 RA | NRC SUL | AAFCO 2024 | FEDIAF 2024 | 市販フード実測(目安) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Ca(カルシウム) | 200 mg | 250 mg | 450 mg | 250 mg | 200–250 mg | 200–400 mg |
| P(リン) | 160 mg | 200 mg | 400 mg | 200 mg | 160–200 mg | 200–350 mg |
| Mg(マグネシウム) | 10 mg | 25 mg | 15 mg | 25 mg | 20–25 mg | 25–35 mg(高い製品は40) |
※すべて「mg/100 kcal」に換算
※ FEDIAF は g/1000 kcal 表示のため換算済み
解説ポイント
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CaとP
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NRC・AAFCO・FEDIAFで大きな差はない。
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Ca:P比は1.0–1.3 : 1 が推奨レンジ。
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Mg
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NRCは「最低10 mg → 推奨25 mg → 上限15 mg/100 kcal(=150 mg/1000 kcal)」と範囲が広い。
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AAFCO・FEDIAFは25 mg前後を推奨。
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市販フードは25–30 mgが中央値、高いものは40 mg近くに達する。
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まとめ
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Ca:200–250 mg/100 kcal
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P:160–200 mg/100 kcal
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Mg:20–25 mg/100 kcal
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Ca:P比は 1.0–1.3 : 1 が適正
Naと同じく「mg/100 kcal」で整理すると、フード・手作り・基準を同じ土俵で比較できる。
特にリンは「量」だけでなく「形態(無機リン vs 食材由来)」が重要で、腎臓負担を大きく左右する。
総括
「Na=0.1%」「Ca=0.9%」── フードのラベルでよく見かける数字、実はあんまり意味がない。
なぜなら水分量で全然変わるから。ドライとウェット、同じ%でも中身は別物。
猫の体にとって大事なのは「何kcalあたりに何mgの栄養が入っているか」。
つまり mg/100 kcal で見てあげると、基準・市販フード・手作りごはんを一つのテーブルで比較できる。
ナトリウム、カルシウム、リン、マグネシウム── どれも腎臓や骨に直結する必須ミネラル。
数字を正しく読み替えるだけで、「うちの子のごはん、足りてる?多すぎない?」が一気にクリアになる。
今回の記事は手づくり食講座で「塩を少々足しましょう!」と言われて「少々ってどれぐらい?」で悩んでいた友人にささげる。(そもそも少々って人によって違いすぎるからね。とても無責任だと思うんだ。有料講座なら特に。)
