AAFCO/FEDIAFの数字に潜むカラクリ 

パッケージ裏に書かれている「粗タンパク質」
しかし粗タンパク質は同じ“g”でも、実際の中身はまるで違う。
90%消化できる肉タンパクと、40%しか消化できない植物タンパクを同列に扱うことが、ペットフード基準の最大の盲点。

なぜ「粗タンパク質」で一本化しているか

  • 粗タンパク質(CP)は 窒素量から換算する単純な指標
  • どの原料でも「N量×6.25=タンパク質g」とカウントできる。
  • だから「肉由来か植物由来か」に関係なく、同じ“タンパク質”として表に載せられる

この仕組みのおかげで、コーンや大豆かすパン粉を多用しても基準はクリアできる

動物性タンパク質基準にすれば即解決なのに…?

  • もし「タンパク質は動物由来90%以上」と縛れば一発で改善する。
  • でもそれをすると「植物タンパクや副産物を安く使ってマージンを取る」ことが難しくなる。
  • 業界にとっては「必須アミノ酸ごとの基準」を作っておけば、
  • 肉を減らしても不足アミノ酸(リジン、メチオニン、タウリンなど)だけ合成で補える
    • コストを抑えて“完全食”を名乗れる
      …という(都合の良い)仕組み

  • 肉を減らしても「アミノ酸パウダーで補えば合格!」という設計。

  • 本質的には「猫の生物学」じゃなくて「製造コスト構造」から逆算された基準

動物性タンパク質 vs 植物性タンパク質(猫の栄養設計における比較)

項目 動物性タンパク質 植物性タンパク質
消化率 約85〜95%(肉・魚・卵) 約40〜70%(大豆かす・穀類など)
必須アミノ酸バランス 自然に充足(リジン・メチオニン・タウリンも豊富) 不足しやすい(リジン・メチオニン・タウリンが欠けがち)
AAFCO/FEDIAF対応 総タンパク量で基準クリア+必須アミノ酸も自然に合格 粗タンパク量は計上可。欠けるアミノ酸は合成添加で調整
栄養の複合性 ビタミンB群・鉄・亜鉛など微量栄養素も豊富 アミノ酸以外の栄養価は乏しい
猫の生理適合性 肉食動物に合致(高吸収・低残渣) 消化管に負担大(繊維・抗栄養因子)
コスト面 高い(原材料費がかかる) 安い(副産物や穀類を多用できる)
猫にとってのリスク ・高品質ならリスク低
・腎臓負担は「量の過剰」で起こるが質の高さで軽減
・尿路pHは安定しやすい
低消化で残渣増 → 大腸負担
アンモニア発生増加で肝臓・腎臓に負担
・マグネシウム・リン過剰で尿石症リスク上昇

※「猫にとってのリスク」は消化率・窒素排泄・尿pHへの影響からの推定。植物性タンパク質は尿路疾患や腎疾患の素因を持つ猫に特に不利。

AAFCO / FEDIAF の必須アミノ酸基準が“都合がいい”理由

1.粗タンパク質の落とし穴

  • CP(粗タンパク質)は「窒素量×6.25」で計算される。
  • 動物性でも植物性でも同じ“g”で表記できる。
  • → だから 消化率40%の植物タンパクも、90%の肉タンパクも同列扱い

2.必須アミノ酸リストが抜け道ルートに

  • 「リジン、メチオニン、タウリン…」などの基準を別途設定。
  • → これがあるから、メーカーは 肉を減らしても足りないアミノ酸だけ合成添加すれば合格。
  • つまり「タンパク質=肉じゃなくてもいい」仕組み。

3.業界に都合のいい柔軟性

  • 植物性タンパク+副産物を安く使える。
  • 基準を“満たしているように見せられる”。
  • 消費者は「AAFCO/FEDIAF基準クリア=安心」と誤解しやすい。

4.猫の生理には不一致

  • 猫は高タンパク・高消化率の動物性タンパクを必要とする。
  • 植物ベースだと 窒素排泄負担↑、腸内発酵↑、尿石リスク↑
  • でも基準だけ見れば「合格」となってしまう。

付録

フード業界のタンパク質設計フロー(AAFCO / FEDIAF基準の実態)

① 粗タンパク質を測定(窒素量×6.25)
動物性でも植物性でも
↓同じ「g」として計上可能)↓

② 必須アミノ酸基準と照合
↓不足していれば…↓

③ 合成アミノ酸を添加
(リジン・メチオニン・タウリン等)

④ 基準クリア → 「完全食」と表示できる

※この仕組みにより、消化率の低い植物タンパク質や副産物でも、合成アミノ酸で補えば基準を満たせる。
猫にとって必要な「動物性タンパク質の質」は基準外になっている。

タンパク質設計:業界フロー vs 猫の実際の必要

業界フロー(AAFCO/FEDIAFの運用実態)

  1. 粗タンパク質を測定(N×6.25)
  2. 必須アミノ酸基準と照合
  3. 不足アミノ酸を合成添加(リジン/メチオニン/タウリン等)
  4. 基準クリア → 「総合栄養食」表示

・原料は動物性/植物性を問わず同じ「タンパク質g」で計上可。
・消化率や生理適合性は基準外。植物タンパクや副産物を多用しやすい。

猫の実際の必要(生理適合の設計原則)

  1. 動物性タンパク質を主原料(消化率≒85–95%)
  2. 必須アミノ酸は食材由来で自然充足(タウリン:心臓・レバー、リジン:肉)
  3. Ca:P比の是正(骨 or Ca塩で1.1–1.3 : 1)
  4. 脂肪酸バランス(AAは臓器、EPA/DHAは青魚で補完)
  5. 微量ミネラル・脂溶性ビタミン(臓器・卵黄・魚+少量サプリで最小限補強)

・「量」より質(消化率・生体利用率)出所(動物性)を優先。
・合成アミノ酸は最小限の保険としてのみ。例/タウリン

まとめ

  • 粗タンパク質は同じ「g」でも、中身(消化率・アミノ酸プロファイル)が別物。
  • 基準を満たすことは可能でも、猫の生理に合うとは限らない
  • 動物性・高消化タンパク+最小限の補強が、本質的な完全性に近い。
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